どうして、君のことばかり。

「全然おかしくなんてない。颯ちゃん、今までひとりでがんばって、しんどかったね」

「……ん」

「これからは、わたしもいるから。颯ちゃんはひとりじゃないから。わたしにも、颯ちゃんのしんどい気持ち……、分けてね」

 颯ちゃんは小さくうなずくと、わたしの手首に添えていた自分の手に、きゅっと、力をこめた。

「ありがとう。由奈がいてくれて、よかった」

 その時。

 どん、と、地鳴りのような大きな音が響いて、わたしのからだはびくっと跳ねた。

「……始まった、花火」

 颯ちゃんが、わたしの手をひいて立ち上がらせてくれた。

 水のにおいにまじって、火薬のにおいが風にのって運ばれてくる。

 どん、どん、と、音は続く。

 わたしと颯ちゃんは夜空を見上げた。

 うすい藍色の空に、しゅるりと、最初の花火が昇って行って、高いところではじけた。

「わあっ……」

 歓声があがる。