どうして、君のことばかり。

「なのに、何なんだろ。引っ越しして、ばたばたしてたのが落ち着いたら……、なんか急に、ぽっかり穴が開いたみたいな」

「うん」

「虚しい、っていうか……」

 颯ちゃんは、一生懸命、言葉を探してさまよっている。

「寂しい、って。言うんだよ、それ。……多分」

 そっと告げると、颯ちゃんは、

「そうだな。多分、それだ。由奈に言われなきゃ自覚できねーのな、俺って重症かもな」

 と、泣きそうな顔して、笑う。

「由奈に、本当の気持ちを話してほしいって言われたけど、自分でもよくわからなかったんだ。押し込め続けてきたから、気持ちの表し方もわからない」

「……うん」

 わたしは手をのばして、颯ちゃんの頭の上に、そっとのせた。

 わたしを慰めるとき、颯ちゃんがよくそうしてくれたように。

 颯ちゃんはわたしの手首を優しくつかむと、自分の頬へと引き寄せた。