「由奈が智也を好きだって知った時、自分の気持ちは閉じ込めるって決めてた」

 いつか颯ちゃん、言ってた。

 わたしが、「好きなひとの好きなひとが、自分の親友だったらどうする?」って聞いたとき。
 「好きなひとを応援する。自分の気持ちは伝えない、伝わらなくてもいい」って。

 好きなひとが幸せになることのほうが大事だ、って。

 もしかして。
 あの時、颯ちゃんは。

「強がって、かっこつけてばかりだったけど。本当は、俺にしろよって言いたかった。好きだって、言いたかった」

 颯ちゃん。
 本当に? 
 もしかして、……これは、夢?

「由奈」

「……うん」

「これからも、由奈の一番近くに居たい」

「うん。……わたしも」

 颯ちゃんがそっとわたしを引き離す。
 手はしっかりとつながれたまま、じっと、おたがいの目を見つめ合う。


 颯ちゃんとわたし、同じ気持ちだったんだ。