時が止まったみたいだった。

 颯ちゃんもわたしを、まっすぐに見つめ返してきたから。

「俺のためって。どういうことだよ」

「だ、だって。颯ちゃんがわたしに、本当の気持ちを言ってくれないのは、わたしが弱くて頼りないからでしょ?」

「そんなこと、ねーよ」

「でも。わたしは、自分のこと、そう思ってるの。このままじゃ嫌だって」

「由奈」

「わたしも颯ちゃんのことを守りたい」

 言ってしまったあとで、わたしははっとして口をつぐんだ。

 守りたい、だなんて。
 絶対、ナマイキな、って言われる。
 だけど颯ちゃんは、そんなことは言わなかった。
 代わりに、

「『本当の気持ち』って、そもそも、絶対、誰かに打ち明けなきゃなんないわけ?」

 と、低く、つぶやくように言った。

「それは……」