ああ……。言っちゃった……。

 隣にいる颯ちゃんをちらりと見やると、目をまんまるくして驚いている。

「すっげー。かっこいー」

 森下くんはひゅうっと口笛を吹いた。
 や、やめてください……。

「由奈はね、一見、ふわふわして、おとなしくて、守ってあげたくなるような女の子なんだけど、じつは強いんだから。すっごい、勇気あるんだから」

 絵里はそう言うと、わたしにぺこっと頭を下げた。

「あの時はありがとう。すっごく、嬉しかった」

「やめてよ、絵里。恥ずかしい」

「あのね、あたしが言いたいのは。由奈はもっと自分に自信持ってってこと!」

 強く言い切ると、絵里は、「ねっ」と、颯ちゃんに向かってあいづちを求めた。

 な、なんで颯ちゃんに。

 颯ちゃんは、何も言わず、ただ、うなずいた。