「うーん」

 森下くんが思いっきり伸びをした。

「ちょっと休憩しよーよ」

「さんせーい」

 絵里が続く。

「なんか頭痛くなってきた」

「普段脳みそ使わねーからな」

「うるさい」

 絵里が森下くんを軽くにらむ。
 森下くんはけらけら笑って、ほんとに楽しそう。
 やっぱりちょっと、羨ましい。
 彼氏彼女っていう、関係が。

「そういえば由奈ちゃん、家庭科部、どう?」

 森下くんがお菓子の袋を開けながら、わたしに話を振った。

「うん。楽しいよ」

「それにしても、いきなりだったよね。どういう心境の変化?」

 聞かれて、わたしは、「うーん」と首をひねった。

「強く……なりたくて」

「強く? それだったら普通、空手とか柔道とか、そういうのにしない? 面白いなあ、由奈ちゃんは」