結局、誤解は解けないまま。


 それにしても、わたしと颯ちゃんが結構目立ってるって、どういうこと? 
 颯ちゃん自身はたしかにかっこよくて目立ってるけど……。

 中学校の頃は、わたしたちが幼なじみだってことは知れ渡ってたから、付き合ってるなんて誤解されることはなかった。

 でも、あの、山根さんの口ぶり。
 もしかして、ほかのみんなも、わたしたちの関係を勘違いしている?

 急に気持ちがそわそわしてきた。

 グラウンドに出て部室から颯ちゃんが出てくるのを待つ間、わたしはしきりに自分の髪を整えたり、スカートのひだをきれいに整えたりしていた。

「おーっす、由奈ちゃん」

 森下くんが太陽みたいな笑顔でわたしに手を振る。

「颯太、いま顧問の先生と話ししてるから、もちょっと待ってて」

「う、うん」

「じゃーね。告白がんばって」

「だからっ! 告白なんてしないってば」

「いや、マジな話」

 森下くんは急に声のトーンを落とした。
 妙に真剣な目をしている。

「俺さ。ふたりに、どうしてもうまくいってほしくて。絵里と4人で、放課後遊んでたじゃん? 絶対くっつけてやろうってはりきってたんだよね」

 ……やっぱり。

「森下くん、絵里にばっかり話しかけるのはどうしてなんだろうって思ってた」

「やっぱあからさまだったか。そうなんだよ、颯太と由奈ちゃんをふたりにしたくてさ。まさか自分が絵里のこと本気で好きになるとか思ってなかったし」

「……ふふっ」

 なんだかおかしくなって、わたしは笑った。
 森下くんがそんなこと企んでたなんて、あの時は思いもしなかった。
 すっごく悩んでたのに。

「あ。颯太来た。引き止めてごめんね。じゃ」