つきあい始めた時は、あんなに恥ずかしがってぎこちなかったのに、ふたりの距離はどんどん縮まっている。

「ほんとにラブラブだよね」

「……ん。そう、だな」

 颯ちゃんは歯切れが悪い。
 わたしのほうをちらっと見て、そしてすぐに、道の先のほうへと視線をやった。

「仲いいのは、べつに構わないけど」

 ふうっと、長い息をつく。
 どうしたんだろう、何か不満げな様子だ。

「なんか怒ってる?」

「いや、別に」

 颯ちゃんは慌てて笑顔をつくった。

「俺だったら無理だなって思っただけ。制服姿で、人目につくとこで手をつなぐとか」

 いきなりそんなことをぼやいたから、わたしの心臓はどきっとはねた。

 そ、それは、もし自分に彼女がいたら、って話だよね?

「颯ちゃんって、結構シャイだからね……」

 なんとか普通にリアクションしたつもりだったのに、声がうわずってしまった。

 やばい。わたし、意識しすぎ。