「おい、何でこんな弱い敵も倒せねぇわけ?こんなこともできないの?」

テオがそう言うと、「私だって頑張ってますよ〜……」とフィービーは悪魔に襲われた時よりも涙をこぼし始める。

「ったく、すぐ泣きやがって!」

テオは舌打ちをしてフィービーを抱きしめる。素直に「大丈夫?怪我はしてない?」と訊くことはできない。しかし、フィービーの涙は見たくないと思っているのだ。

「えへへ。ご主人様のこういうところ好きですよ」

フィービーは泣くのをやめ、テオを見上げる。テオは「調子に乗んな!」とフィービーのおでこをはたいてしまった。



それから数日後、テオはフィービーと学校に向かっていた。

「別にお前は家にいてくれていいんだけど」

テオがそうため息をつきながら言うと、フィービーは「ご主人様と一緒にいたいんです!」と無邪気に笑う。その言葉が嬉しいということをテオは心の奥底に隠した。

テオの学校は中心街にある。ちなみに、テオが通っているのは魔法使いの中でもエリートしか通えない学校だ。