「若林君……」
迷ったがありがたくハンカチを受け取り、メイクがつかないよう軽く拭いた。
「もし二人がそういう関係だったなら、僕は社長を軽蔑しますよ。そういう人を秘書として連れてくることは有村さんの気持ちを考えてなさすぎます。でも社長ならやりかねなくて」
「そうですね……。ごめんなさい、若林君。心配かけて、いつもみっともないところばかり見せてますよね」
「いいんです!」
背に回していた若林君の手に、少し力が入ったのが分かった。
都筑さんほど身長差がないせいで、やたらと顔の距離が近くなる。
「あの、有村さん。もうこの際、社長のことはすっぱり忘れませんか。僕が手伝いますから」
「若林君?」
「僕が忘れさせてあげます」
真剣な目。
うん、どういうことだ……?
いや……なんとなく分かるような気もするけど、分かっちゃいけないような……。



