オフィスには少し派手なレースのワンピースに、お嬢様みたいなくるくるしたハーフアップ。
甘ったるい声。
この子が、秘書……?
どういうことなの?
視線を都筑さんに移すと、彼は桃木さんの肩に手を置いた。
「と、いうわけだ。桃木はフリーランスのデザイナーだが、まだ暇してるってことで秘書として来てもらった。俺の大学の後輩だからこのとおり馴れ馴れしいが」
「ひどぉい。前から都筑さんの会社に興味があったので、楽しみにしてたんですよぉ。デザイナーとして雇ってもらってもいいのにぃ」
「デザイナーは足りてるから。足りないのは秘書なんだよ」
……足りない……?
え、言ってる意味がよく分からない。
秘書は私がひとりでちゃんとやってるじゃない。
ミスしたことないし、秘書の仕事だけじゃなくて皆のお手伝いだって色々とこなしてきた。
足りないって、何が?
私はここの秘書で、社員第一号。都筑さんに一番に声をかけてもらった。
プライベートでは上手くいかないけど、オフィスでは私と都筑さんは一番近い関係だ。
ここに、その桃木さんを入れるのっていうの?
どうして?