待って私、介護するなんて言ってないよね……!

仕事続けながらそんなの無理に決まってる。
あれもこれも奥さんにさせる予定だなんて、むしろ自立してないのは戸川さんの方じゃん!

それに結婚するなんてまだ一言も言ってないし!

「というわけで、後で紹介するよ。ママのお眼鏡にかなうといいんだけど。じゃあね」

な・に・が、ママのお眼鏡じゃ───!

心の叫びが声に出そうになり、私はまた自分の口を塞いだ。

まずい、ここにいたら電話を終えた戸川さんと鉢合わせになる。
隠れなきゃ。とは言え、どこへ?

両手で口を塞いだまま顔を上げると、目の前に誰か立っていた。

「有村……?」

「ヒィッ……!」

驚きすぎて鼻で大きく息を吸い、胸が詰まってむせこんだ。

なんでここに都筑さんがいるの!

休みのはずなのに綺麗めのジャケットを着た都筑さんが、緊張状態で立っていた私を仁王立ちで覗き込んでいた。