長いキスをしているつもりはなかったけど、こうしている最中に時計の針の音がかなりの数聞こえていた。
甘いキスを終えて額をくっつけられると、そこがジンと痺れる。
そばにいても進展することはないと思っていた都筑さんとこんな急展開になるなんて。
好きになってもいいかな。ううん、とっくに好きに戻ってる。
かすかに野獣のようにギラついている都筑さんの視線に応えるために、私は勇気を出して彼の肩に手を伸ばした。
今ここで抱かれることになっても、それでいい。
三年間の穴埋めをしてくれるなら……。
「……泣いてるのか」
そう言われてから気付いた。
焦った私は伸ばした手を一旦Uターンさせて、自分の目尻を拭う。
「これは……なんでもないです。ビックリして……」
「結構泣くんだな、有村って」
彼も親指を私の目尻に添えてくる。
涙がきちんと伝って消え去ると、私は改めて彼の肩に手を伸ばした。
しかし、彼が体を離したことで、それは空を斬る。