昨日言われたことは確かに驚いたが、一日経ったところで私にはまだ現実味など湧いていない。
夢のような出来事だ。

三年間気付かなかったことを、昨日の一瞬で気付いたと言われても、今回のことも盛り上げて落とすのが得意な都筑さんのトラップなんじゃないかと私の本能が警告してくる。

「返事をしなきゃならないほど、真剣な告白をされた覚えはないです」

とりあえず時間稼ぎの言葉を選んだが、これも一応私の本心ではある。
昨日の言葉では三年間を覆すにはまだ足りない。

……ああ、私は何を期待しているんだろう……。

「俺は真剣に告白してる。有村」

……ああ……。

彼の椅子がこちらを向いた。
やめて。立たないで。

「都筑さん……」

ああ、こっちへ来ないで。

彼の手が私の椅子のひじ掛けを掴み、回された。
強制的に合わされた目は相変わらず情熱的だった。
本気って感じ。本当に本気?

都筑さんが本気なら、それなら私……。

「有村。好きだ」

ああ……都筑さん……。