私は自分の恋愛を始める。
私のことを所有物としか思っていない都筑さんになんて、これ以上振り回されるもんですか!

「なんだそれは。俺はお前のことを所有物だなんて思ったことはない」

「じゃあ何ですか? 私に男ができるのが嫌だなんて。まさか、私のことが好きだとでもおっしゃるんですか?」

ないない。
それはもう、ずーっと期待して、打ち砕かれてきましたから。

都筑さん?
あれ? 都筑さーん?

ブラインドにかけられていた彼の手は戻った。
呆然とする都筑さんの目は、私を捕えているのに焦点が合わない。

「……都筑さん?」

七秒黙り込んだ彼は、目を泳がせ、そしてまた私に戻した後で、神妙な顔で呟いた。

「……好きなのかな」

「……はい?」

「俺、有村のこと好きなのかな……?」

えぇ………?

恐ろしいほど綺麗な顔でそう聞かれ、私も十秒黙り込んだ後で、「聞いているのはこっちです……」とどうにか返した。