あたしは教室でニマニマしていた。

明日はついに飲み会~!

なんかいろいろあったけど、全部どうでもよくなってきちゃった。
まぁここ数週間で、彼氏は失ったけれど、でもなんかそれ以上に楽しいと思えることがあるんだもん。自分で言うのもあれだけど単純なあたしだから、もう先輩のことは忘れた。

特に黒歴史とかになるわけでもなく、純粋に、あたしを成長させてくれてありがとうって思うことにした。
嫌なこともあったけど、そのおかげで今こうして明日の飲み会を楽しみにしてるわけだから、その経緯がなければこういう結果にもならなかったんじゃないかと思うわけよ。

ポジティブに行かなきゃね。

って、大槻のこと、さんざん誤解してて言うセリフじゃないかもしれないけど。

大槻は相変わらず図書委員だのバイトだので忙しそうだった。
でも、図書委員も、松下さんとの誤解が解けたからいいんだもん。

なんかものすごくすっきりした。

胸につっかえてたわだかまりが全部ほどけて砂のようにさらさらとどっか飛んで行った…って感じ。
言い過ぎ?

でもそれくらい、ここ数日のあたしは浮かれ気分で毎日を過ごしてた。

何で浮かれてるのかは自分でもよくわからないけど、とりあえず、明日を楽しもう。

友達の千鶴に、それとなく聞いてみた。

「ねぇ、はじめての人がたくさんいるところって、千鶴ならどんな格好していく?」

「はぁ?何それ?合コン?」

と、千鶴はいぶかしげに返してきた。

千鶴はあたしとかと一緒にいて、普通の女の子のグループの属しているけれど、意外と行動力があって、バイトもばりばりこなしちゃって、男の子の友達もたくさんいる、そんな子だった。

「合コンなんかじゃないよ!」

「ははぁ~。神菜なんかあるな~?」

千鶴が目ざといのか、あたしが鈍いのかは定かではない。
でも、こういうのがばれやすいというのは、あたしが鈍いから…なのかもしれないな。