だから俺は真意がわからず、むすっとしていた。

これを単純にデートと割り切れれば楽しいんだけどな、相手にその気持ちがないのに勝手にデートと思いこむのもばからしい。

「で、お前どうしたいわけ?」

ぶっきらぼうに聞いた。

「どうもこうもないよ、松下さんとはあのあとどうなったわけ」

ああ、まだ松下の話か…。

「だーから、あいつは、図書委員が一緒なだけ。確かにな、俺のこと好きだったって言うのはわかってたけど、俺は一切シカトしてたの。気づいて一緒に図書委員やるのも結構しんどいんだぜ」

と言うと、神菜はむすぅ~~~~~~とした。

「ねぇ…」

「何?」

「大槻って前彼女いたでしょ」

はあ?

確かにいたけど。年上のな。でもあれはすげー後味の悪い付き合いだったからあんまり思い出したくねーんだけど…。
そんな過去の話しなくちゃいけねーのか?
過去の触れられるのはちょっとイラッとした。

「お前な…いい加減にし…」

「どーして大槻はそんなモテるの?!」

俺が思ってたこととはまったく違う言葉が返ってきた。思わず俺も驚いた。

「…は…い……?」

「大槻ばっかりずるい!あたしなんてタク先輩としか付き合ったことない上に、あんな目にあってるのに!」

こいつのほうこそ何考えてるんだかさっぱりわかんねーぞ…と、しみじみ思った。

「いや、神菜ちゃーん?俺、ぜんぜんモテねーよ?」

それでも、ぶすっとしてる神菜を見てるとだんだん面白くなってきた。
神菜は彼氏がいなかったことが相当コンプレックスだったらしいな。
それでいて、まだ本気で人を好きになったことがない、と言うこともわかった。
恋愛にあこがれてるだけだ。