それから一週間、神菜とは何もなかった。

いや、正確にいえばあった。

俺が一方的にメールを送っていた。

《なんで怒ってんの?》

とか、

《勘違いすんなっつの》

とか。

だけど、神菜は丁寧にメールは返してくれるものの、内容は

《別に怒ってません》

とか、

《勘違いしてません》

とかだった。

…勘違いしてるし怒ってるじゃねーか。

何にあいつは怒ってるんだ?
松下にひどいことをしたから?

でもそれはちゃんとフォローしたし。神菜は知らないけど。

ちなみに、教室では、うわさ好きの男が俺と松下のことを好き勝手に言いふらしていて、なんだかしらないけれど、修羅場と言うことになってしまっていた。

もう、マジで誰とも話したくねー気分だ。
当然その噂は神菜のグループにも伝わっていて、神菜の友達が、面白おかしく話題にしている。

神菜はそれを聞いて、わざとこっちを見ながら

「大槻って、意外と酷いんだね!」

とか言ってやがる。
神菜、お前わざとらしっつの。
怒ってるのバレバレなんだよ。

だから何でお前がそんなに怒るんだよ。
理由を教えろ。

…と、俺は教室で一人、イライラを募らせていた。