「おーい、優喜、ご飯だよ」

ものすごくいいタイミングでおじさまが下から呼びかけた。

「わ、わかった!!!」

あわてて取り繕う大槻は、普段本を読みふけっている姿からは裏腹に、なんだかすごく幼く見えた。
あたしもはっと気付いて、

「じゃ、じゃあ帰るから!」

と言って出て行こうとした。

「いや、それはだめだ。」

取り繕い終わった大槻はあたしのほうを見てきっぱり云い放った。

「へ?なんで?」

「うちの親父とお袋だ、絶対お前の分も用意してるにきまってる。」

また普段通りのまじめな顔で言う大槻。
ええー心の準備ができてないよ!!!てゆーかどうしてお父様とお母様と一緒にご飯食べなくちゃいけないのー!!!

「まぁ帰ってもいいんだけどな。」

「そんな失礼なこと出来ない!」

ああ…あたしもちょっとバカだ…帰りたければ帰ればいいのに…。
まぁ食事に誘われると決まったわけじゃなし、帰る支度はしておこう。

そんな訳で、大槻の部屋からでてあたしは早々に

「おじゃましま…」

言いかけたところに、やっぱりきた、カウンター。

「神菜ちゃんも食べて行きなさい」

ああ、おじさま、その素敵な微笑みやめて…これで帰ったら神菜完全に悪者…。