「気になってたんだけどさあ、
工藤さんって女の子...だよね?」
俺が俺って言ってることが気になったんだろう。
そう。俺は女。
小さい頃から自分の見た目が気に入らず、
ずっと自分のことを男だと思って生きていた。
「うん。そうだよ。」
でもある日、まるでお前は女だと強く押し付けられたような感覚を覚えた。
生理だ。
その日はショックで一日中泣いた。
すると母さんは、
『あなたの好きなように生きなさい。』
って言ってくれた。
それから俺は自由に生きてきた。
「.....の?ねぇ聞いてる?」
「えっあーごめん、なに?」
「だーかーらー、なつきって呼んでいいの?」
「俺が俺って言ってる理由聞かないの?」
「別に、あなたが好きでそうしてるなら聞かない。言いたくなってからでいいよ。
なにかあるんだろうし。でも私はあなたと友達になりたいの!」
「あ、ありがとう。なつきでいいよ。」
「じゃあ私のことも、あかりって呼んでね!」
「うん。よろしくあかり!」
それから昼休み。
あかりとは色んな話をした。
どこ出身だとか、何が好きかとか、お互いの高校の話とか...
気兼ねなく話せるあかり。
俺に声をかけてくれてありがとう。
そんなこんなで一日が終わった。
「さようなら」
号令と共にみんなが挨拶をし、ぞろぞろと帰っていく。
「また明日、なつき!」
「おう!また明日な!」
「工藤、ちょっといいか?」
あかりと別れた俺に担任が話しかけてきた。
「なんですか?」
「これ、職員室に持って行ってくれる?」
そこにあるのは山盛りの書類。
今日みんなから集めたやつ。
めんどくせぇ。まあ暇だからいいけど、
「いいっすよ。」
「助かるなー!ありがとう。」
山盛りの書類を抱えて職員室に向かった。

