もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~

「ちょっと待って」
嶺は浴室からバスタオルを出すと若菜に渡した。

「私、神永さんの気持ちを大切にしたいんです。それに、神永さんは露出しなくてもいいって思うんです。だって、私神永さんの音楽からいろんなこと感じて、いろんなこと思いました。神永さんの音楽にはちゃんと気持ちがこもっていて、ちゃんと伝わるから。音楽が好きなだけで何もわからないような私にも伝わる何かがあるから。」

渡したタオルを抱きしめるように持ったまま、一生懸命に話す若菜に、嶺は心をわしづかみにされた。

こんなにも一生懸命に気持ちを言える若菜がうらやましい。
自分以外の誰かのためにこんなに必死になれるのがうらやましい。

なりふり構わずぶつかれる勇気がうらやましい。

大人になるにつれて自分が忘れてしまっていたものを思い出させられたような気がした。