もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~

「話してきました。」
「え?」
「事務所に話してきました。音楽祭への参加、やめましょう」
「・・・」
びしょぬれのまま、目を輝かせて言う若菜に嶺は言葉をうまくかえせない。

「露出したくないんですよね。神永さんの気持ちを押し込めてまで、音楽祭に行かなくてもいいと私は思います。」
「・・・」
この子はどうしてこんなにも一生懸命なのかと分からなくなる。

「神永さんは自分の音楽を聴いてほしいんですよね?ほかのなんでもない。一曲一曲に込める気持ちを、音楽で伝えたくて、音楽で聴いてほしいんですよね?」

ひとまわりも年齢が違う若菜。
なのに、嶺が思っていることをずばりあててしまう。

驚きながらも嶺はその姿に我に返った。