「鈴っ!」
その声に目を覚ますとそこには暗闇の中で心配そうに私を見つめる恭の顔。

私の髪を大きな手でかき上げながら恭は私の顔色を確かめる。

「恭・・・」

私はこうして夢にうなされることがある。

それはまた記憶を失ったらどうしようかという恐怖の夢。

時々みてしまう。

また頭に靄がかかって、自分が誰なのか、大切な人のことも思い出せない日がやってくるのではと不安になる。

これは夢の中だけじゃない。
現実の中でも時々不安になることがある。