もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~

恭は私に変わってピアノの鍵盤を拭き始める。
私の動揺のきっかけがピアノだと思った恭は私がピアノに触れることを回避してくれたのだとわかりながら、私はピアノに触れずその周りの片付けに集中した。

『これは鈴の音だな』


あの声は誰の声なのか。

現実・・・の過去の世界の声・・・?


だとしたら、空白の2年前の記憶の断片が思いだされたのははじめてだ。

少し自力で記憶を引き出せたような気がしてうれしいようなきもする。

でもそれ以上に思いだすことへの恐怖の方が勝っていた。