もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~

さっそく恭には脚立にのぼり天井から飾りを下げてもらう。
私は専用のタオルを使ってピアノを拭き始めた。


その時、なぜか違和感を感じた。



自分の手が自分の物じゃないように動き始める。

まるでピアノの構造を私の手が知っているように、どこをどう拭いたらいいかわからなかったのに、拭き始めたら手が勝手に動いた。この2年間でピアノに触れたことはない。

鍵盤を拭いているときに不意にピアノの音が鳴った。
「・・・・C♭・・・」
「ん?」
私の口から出た言葉に恭が脚立の上から私を見る。