もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~

私も恭の方へ向かい歩き始めると、恭の近くにいる人が恭を見上げているのが視界に入った。
その瞬間、私の胸がチクリと痛む。

恭の方へ向かって動かしていた足を止めて、私が自分の胸に手をあてると、恭は足取りを速めた。

「どうした?」
私の顔を覗き込む恭は心配そうだ。
「うんん」
心配させないようにと首を横に振りながら微笑むと、少し心配そうに恭は眉をあげた。

「手伝うことあるか?」
恭の言葉をたまたま聞いていた図書館のスタッフが「手伝ってくれるの?」と目を輝かせた。
「はい。そのつもりで来ましたから」
猫の手でも借りたい状況の今、男手は特に戦力だ。

しかも、イベントを手伝っているのは年配のメンバーがほとんどで、恭くらいの年齢の男ではほとんどない。

「水瀬さん、そしたらメインイベント会場の飾りつけの最終確認お願い。」
「はい」
私は恭と一緒にメインイベントの会場となるピアノを設置してある場所へ向かった。