「鈴・・・おかえり・・・」
嶺は真っ赤な瞳から涙を一筋流して、私を抱きしめた。
「おかえり・・・おかえり」
何度も震える声で繰り返す嶺。

「ただいま・・・」
私はその背中に手をまわした。



驚くほど頭の中がすっきりとしていて、今まで靄がかかっていた部分にも陽がさしているかのように感じる。

「鈴・・・鈴・・・愛してる・・・鈴・・・おかえり・・・」
「・・・嶺・・・ただいま・・・ごめんね・・・」
遅くなってごめんね。いっぱい、つらい思いさせてごめんね。

うまく言葉にならない気持ちを込めて謝ると嶺は首をぶんぶんと横に振った。