鈴を守るために、この秘密は鈴の記憶が戻るまでは言わないでおこうと決めていた。

この秘密を知れば、鈴の心はまた深く傷ついて、壊れてしまうかもしれない。

今だって、昔だって、いつも鈴はなんだって自分のことを責める。

ほかの誰かのことも。
まるで自分のことのように思って、思いすぎて傷つける。

鈴のピアノの音色にはいつだって、繊細さと哀愁が感じられた。


いつだって鈴はそうだ。

そんな鈴を、鈴の代わりに愛して、守って、甘やかして、支えて、幸せにしたい。
そう思ってそばにいたのに・・・俺は結局いつも守り切れない。