「鈴のことだ・・・」
「うん」
「鈴は・・・」
「うん」
「・・俺の前から姿を消して一か月後、病院に診療の記録があった。」
嶺は大きく深呼吸をした。

吸い込んだ空気をゆっくりゆっくりと吐き出した嶺は、その最後のひといきで言葉を発した。

「・・・鈴は流産してたんだ・・・」

「・・・え?」

「産婦人科の診療記録だった。妊娠3か月での自然流産。」

嶺は心配そうに動揺する私の顔を覗き込み、肩を支えた。