もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~

そして、私が話し出すのを待ってくれる。
「ありがとう」
私の言葉に嶺はすぐに「どういたしまして」と答える。

私に語彙力があったらもっと大きな感謝の言葉を嶺に伝えられるだろうか。

ありがとうと言う言葉じゃ足りなくて、私は何度も何度も繰り返しありがとうを伝えた。

笑いながらそのたびに「どういたしまして」と答えている嶺は、赤信号になると車をとめて私の方を見た。
「よかったな。鈴。俺もうれしいよ。」

私のことなのに。まるで自分のことのように喜び涙を流してくれた嶺の表情を思い出す。


『鈴・・愛してる・・・結婚しよう。ずっとずっと一緒にいよう。』
ふとどこからかそんな嶺の言葉が聞こえる。
「鈴?」
急に黙った私の方を嶺が心配そうに見る。