鈴は自分の部屋に入ると小さなテーブルの上に部造作に置かれている指輪を手にした。

豪華な指輪。
今は指のサイズが変わってしまって緩くてつけていられないこの指輪。

婚約指輪だとしたら、どうして私はあんな状態で恭に助けられたのだろうか。

きっと何かあったはずだ。

でもその何かを思いだせないままこうして毎日が過ぎていく。


壊れた心と頭を治すためには、きっといつか向き合わなくてはならない現実。
でもまだ向き合う勇気が持てない・・・。


恭は私がその時を迎えるのを待っているのだろうか・・・。
待ってくれているのだろうか・・・。