少し私が体を動かすと、私の背中に回されていた嶺の手がギュッと私の体を抱きしめなおす。
「・・・っ!」
びくっと体に力を入れる私。
「びっくりした。落ちると思った。」
そう言って嶺が目を開ける。

いつの間にか眠っていた私を起こさないように、そのままの体制で眠ってくれていたらしい。

急に恥ずかしくなって私が目をそらすと嶺は「よいしょっ!」と私の体を抱いたまま起き上がった。
「腹減った!」
無邪気な言葉に私が笑う。

「卵焼き作って。手伝うから俺。」
そう言ってキッチンへ向かう嶺。

その後ろ姿を見ながら私は心から感謝をする。

寝ぐせの立っていない頭。