気付かないうちに私は嶺の運転してくれている車の助手席で眠ってしまっていたらしい。

目を覚ますと、自分の部屋の布団の上だった。

私が少し伸びをしてから自分の部屋を出ると、台所に恭が立っていた。

「・・・」
何も言わずに私が恭の隣に立つと恭はちらりと私を見てから、すぐに手元へ視線を戻した。

何も聞いては来ないのが恭らしい。

「起きたのか?」
背中から声をかけられて私が振り向くとそこには茶の間の机を拭いている嶺がいた。
「・・・うん・・・ごめんなさい。私寝ちゃって。」
嶺に言うと嶺は首を横に振りながら微笑んだ。

明らかに今日一日で嶺との距離が近くなったように感じる。

「手伝う・・・」
私は台所に視線を戻すと恭に声をかけた。