「ここにあるのは全部鈴の服とかだ。」
当たり前なことなのだろうと思いながらも、大きなベッドがひとつ置かれていた寝室に私は少しどきどきした。
その寝室には私がメイクをするための大きな鏡のついた机が置かれていて、そこにはたくさんの化粧品が並べられていた。
「化粧するの、鈴は嫌いだったんだけど、俺の仕事に付き合ってもらうときに撮影とかもあったから。あとは俺がCMの曲を作った会社からのもらい物もかなりあるな。」
「・・・そう・・・」
「服も、家にいる時用の鈴が好きなラフな格好と、家に関係者を招いた時用の服とか仕事用の服とかいろいろ入ってる。」
その服の量にも私は驚いた。

もしかしたら私は贅沢に浪費してしまう人間になってしまったのかもしれないと恥ずかしくなる。

「ここにあるやつは俺が買ったやつがほとんど。必要だからって買っても、鈴は本当に必要な状況じゃないときてくれなかった。むしろ俺が新しい服を買うと怒ってたよ。また無駄遣いしてって。あとは俺の所属する会社から、指定された服もある。ブランドの広告用の曲を作った後は、そのブランドの服を着てプロモーションしたりするから。うちにはそういう関係の物が多いんだ。」
「・・・なんか・・想像できない・・・。」
「俺が一度広告に関わった、野菜をひとつ加えて混ぜて炒めるだけみたいなシリーズの惣菜が段ボールで何箱も家に届いたときもあったし、2リットルの水が廊下に積みあがってた時もあるし、ボディソープとか生活用品はかなりそういうものが多いんだ。」
私は自分のものだといわれた服を見始める。