更衣室で 私を見つけた麻衣は 意味深な笑顔を浮かべて 私に近付いてくる。
 

「ユズさん。お幸せそうで何よりです。」
 
「ちょっと、止めてよ。」

そう言いながら 私の顔は 綻んでしまう。


「聞くまでもないけど。うまくいった?」

麻衣に聞かれて
 
「うん。朝まで一緒だったよ。」

私は 少し頬を染めて 正直に言う。
 
「いいな。ユズ。」

と麻衣に 小突かれることも幸せで。
 

「ホント 麻衣のおかげだよ。リュウも 感謝しているからね。今度 ご馳走するって。」

私が言うと、
 
「そんなこと、いいわよ。また当てられるじゃない。」

と麻衣は 顔をしかめる。
 
「エヘヘ。」

と笑い 否定しない私。



仕事中も 心が弾んでいて。

つい笑顔がこぼれてしまう。

今頃 隆三は 何をしているのかな。

今夜も隆三に会える。

夕食は何を作ろうか。
 


今まで 感じたことのない思い。

人を好きになるって こういう事なの?


自分が こんな風になるなんて。

幸せな驚きだけど。

でも恐怖でもある。


隆三を失ったら。

もう生きていけない。


もう、隆三を知る前の私には戻れない。