「5分で シャワー浴びるからね。」

隆三は 眩しい体にタオルを巻いて バスルームに消えて行った。


二人で朝食を食べて 一緒に部屋を出る。

私に合わせて いつもより早めに 出勤してくれる隆三。
 

「これ。ユズの。」

そう言って 隆三は 私に合鍵を手渡す。
 
「いいの?」

私は 驚いて隆三を見上げる。
 
「先に帰って来て ここで 待っていて。」

そう言われて 私は 隆三の胸に抱き着く。

甘い幸せに包まれて。
 

駅までの道。


仕事の服装なのに いい大人なのに。

手を繋ぐ私達は 端から見れば バカップル。


でも 生まれたての愛は 私達を 離れさせてくれない。
 

私が 電車を降りる時、
 
「帰る時、連絡するね。」

と隆三は 私の耳元で囁く。
 
「うん。夕ご飯、作っておくね。」

私は 隆三を見上げて言う。


私は 後ろ髪を引かれる思いで 隆三より先に 電車を降りた。