「本当はユズ 臆病で慎重なのに。自分を 大切にしないから。好きでもない人と 付き合っちゃうんだよ。」

麻衣の分析に 私は頷いた。
 
「それで どんどん 自分が嫌いになって。現在に至るって感じ。」

私が言うと 麻衣はケラケラ笑った。
 

「でも もう大丈夫じゃない。香山さんのこと 好きなんでしょう。」

笑った後で 麻衣は 私を真っ直ぐに見る。
 

「うん。本気で誰かを好きって 初めて思った。」

私が頷くと
 
「誰かを好きって いいでしょう。」

麻衣は私に聞く。
 

「すごくいい。世界が違って見える。」

言いながら私は 照れて俯く。

クスクス笑う麻衣に
 

「それに 自分も ちゃんとしないとって思うし。香山さんに 恥ずかしくないように。」

私は さっき 電車の中で感じた思いを 麻衣に話した。
 

「いいなあ。ユズ。私も頑張ろうかな。」

麻衣は ほろ酔いの 潤んだ目で言う。
 

「そうだよ、麻衣。頑張りなよ。今度は 私が応援するから。」



女同士の会話は 取り止めがなくて 尽きない。



いつの間にか私達は 眠りに落ちていた。