「私 恋愛経験 少ないから。焦りもあったのかな。大学の時 付き合っていた彼も そんなに好きじゃなかったし。」
私の告白に、麻衣は驚いた顔をした。
「えー。それなら なんで 付き合ったの。」
「友達に みんな彼がいたから。私だけ 一人っていうのも嫌で。」
私が言うと
「だってユズ モテたでしょう。美人だもの。」
と麻衣は 不思議そうな顔をした。
「ううん。私 地味だから。全然、モテなかったよ。」
大学生の頃から 私は臆病で。
男の人に 明るく打ち解けることが できなかった。
「そうか。ユズって 隙がないんだよね。多分。男の人が 軽く声を 掛けられない雰囲気があったのかもね。」
麻衣の言葉に 私は頷く。
「自意識過剰だったの。みんな お高く留まっているって 思ったかもね。たいしたことないのに。」
私は自虐的に言う。
「そんなことないのにね。ユズ 責任感が強いし。面倒見もいいし。仲良くなれば すごく親しみやすいのに。」
私は 麻衣の言葉が嬉しかった。
「ありがとう。そう言ってくれるのは 麻衣だけだよ。」
照れて微笑む私を 麻衣は温かく見つめた。



