「ごめん。もう大丈夫。」

少し泣いた後 麻衣から離れて 私が言うと
 
「大変だったもんね。でも これでユズ 晴れて 香山さんと 付き合えるね。」

と麻衣は優しく言う。
 

「うん。それも嬉しいけど。でも 私 浩太と付き合っていた自分が 本当に嫌だったから。別れられてよかった。」

私は 浩太との会話や 別れた後に感じた 自分の気持ちを 麻衣に話した。
 

「なんか わかる気がする。浩太君と付き合ってからのユズ 全然 幸せそうじゃなかったから。」

麻衣は しんみりと言う。
 
「私 なんで 浩太と付き合ったんだろう。好きだって思ったこと、一度も なかった気がする。」

私達は ピザのデリバリーを頼んで シャンパンを飲みながら食べた。
 

「それも 縁だったんじゃない。香山さんに会うための 試練だったのかも。」

お酒に弱い私達は 少しのシャンパンで ほろ酔い気分になっていた。