本当に 付き合っているのかも わからない状態だったから。

浩太も すんなり 同意すると 思っていたのに。
 

『私と別れても 浩太 どうってことないでしょう。私 他に 好きな人ができたの。』


私は 思い切って 一気に言う。


『待てってば。俺は ユズのこと 彼女だと思っているし。別れるなんて嫌だよ。』

浩太の 意外な言葉に 私は フッと 笑ってしまう。
 

『浩太にとって 彼女って何?私 彼女らしいこと 一度も されてないんだけど。』

別れを 切り出した途端に 未練がましいことを 言う浩太に 私は 怒りを感じた。
 
『そんなこと 言うなよ。離れちゃったんだから。仕方ないだろう。でも俺は いつでも ユズのこと思っていたよ。』

浩太は どういうつもりで そんなことを 言うのだろう。

私は 怒りを通り越して 笑ってしまう。
 

『1か月 会わなくても 全然平気で。何が 彼女なの。何日も 連絡もなくて。毎日 私がどうしているか 全然 気にならないんでしょう。今更 そんなこと言われても。私の気持ちは、変わらないよ。』

私は 呆れた声で言う。
 
『会って ゆっくり話そう。週末 行くよ。こんなこと 電話で話すなんて ダメだよ。』

浩太の言葉に、
 
『ボーナス時期で 忙しいんでしょう。』

私は反論する。
 
『何とか 都合つけて行くから。』

浩太は 恩着せがましい 言い方をした。
 
『無理して 来る必要ないわ。浩太に会っても 私の気持ちは 変わらないから。』

私は もう一度 同じ言葉を繰り返す。
 

『俺は 認めないから。新しい男って どんな奴だよ。』

好きな人が できたと 言ったことが いけなかったのかもしれない。

失敗したと思ったけれど。
 
『どんな人でも 浩太には 関係ないわ。それに私達 婚約している訳でもないし。浩太が 認めなくても 片方の気持ちが 冷めれば 終わりなの。』

私は 言いながら 情けなくなってきた。
 
『とにかく 週末行くよ。ちゃんと 顔を見て話そう。さっきユズも そう言ったじゃないか。』

懇願するような浩太に 私は 面倒くさくなって
 
『わかった。』

と言った。