「どうしたの?」

そんな私を 隆三は クスクス笑う。
 

「だって。引っ越しの費用とか。リュウに お金使わせてしまって。せっかく貯めた 独立資金なのに。指輪まで。」


私は 声を震わせて言う。
 

「心配してくれるの。ユズは いつも優しいな。独立資金は これから貯めるから。大丈夫。俺 案外 高給取りだから。」


温かい目で 私を見て 優しく微笑む隆三。


私は隆三に寄り掛かり、
 

「嬉しすぎて 夢みたいで。私 生きていてよかった。」


感動で震える私を 隆三はそっと支えて
 


「それは俺が言いたいよ。」


と私の耳元で 囁いた。