「それもあるけど。うまくいっている時でも 周りが 気になるじゃない。」

隆三の言う意味が よくわからなくて。

私は隆三を見る。
 

「たとえば。俺とユズが 一緒の会社で。ユズが 他の人の仕事 頼まれたりしたら。俺 ムカつくよ、多分。」

隆三は 諭すように優しく 私に言う。

私は ハッとして 隆三を見る。
 

「そうだね。」

私が言うと 麻衣も頷く。
 

「逆に 俺が ユズじゃなくて 麻衣ちゃんに 仕事を頼んだら。ユズ 拗ねるでしょう。」

隆三の言葉に 私は大きく頷く。
 

「麻衣ちゃんの好きな人 すごく 考えていると思うよ。色々と。」

隆三の言葉は意外で。

私と麻衣は 顔を見合わせる。
 

「好きな人と同じ会社って いいなって思っていたけど。そうでもないね。」

私が言うと
 
「えー。辛いでしょう。仕事が 手につかなくなるよ。」

隆三は 首を振って言う。
 

「気持ちを 伝え合った後は 辛いかも。仕事だから 他の人と 話さないわけにもいかないし。」

と麻衣は 隆三に同意する。