「「いただきます」」
二人の声が重なる。その懐かしい響きに、少し息が詰まった。
「いただきます」を1人で言うようになったのはいつからだろう? その空しい響きを聞きたくなくて、それすら言わなくなったのはいつからだろう?
「レイ? 食べないの?」
「あ、うん。食べる」
温かいご飯はその熱を茶碗に伝えて、その熱を左手が感じる。湯気を出している肉を頬張った。
「あつっ」
「ははっ、火傷すんなよ?」
「……ん……美味しい!」
見た目よりも味はかなり上出来で、思わず声が出た。
「お、ほんとだ。うまい」
ユウもそう言ってご飯を掻き込む。
その姿がリスのようで、笑ってしまう。
本当に、何年ぶりだろう。ここで誰かと一緒にご飯を食べるなんて。
「……俺久し振りだなあ、誰かと飯食うの」
一瞬、心を読まれたのかとドキリとした。
そう言う彼の表情はあまり変わってなくて、私が同調しやすい空気を作ってくれたのかな、なんて都合の良いことを考えてしまう。
「……私も」
「そっか」
彼は深く聞こうとせず、その代わりに私の頭をポンポンと撫でてくれる。
そんなことをされたら柄にもなく泣いてしまいそうだ。
「……泣いていいんだよ」
「やだ」
「ははっ、相変わらず強情だな」
私は目を閉じて溢れてきそうな涙を堪えた。
「寂しかったら俺に言え」
私は寂しかったのだろうか。
ずっと気付かないふりをしていたその感情が、こうやって二人で食卓を囲むことで色を取り戻してしまったのだろうか。
「寂しくなんてない」
「ほんと強がり」
ユウは優しく笑う。
その柔らかな笑顔に、何故か心臓が一際大きく音を立てた。

