「あの……」
それから約2時間くらいした頃、ベッドの上の彼女が起き上がった。
ユウはソファーで寝てしまっている。
「どうですか、良くなりました?」
私が振り返ると彼女は「あっ、えっと、はい……! 迷惑かけてすみませんでした……!」と言う。
そんなに怯えなくても。確かに私は愛想笑いが苦手だけど。
「いえ。……一応病院行った方が良いと思いますよ」
「あ、いや……それは……」
「……何か事情でも?」
彼女は恐らく39度以上出ていただろう。私からすれば今すぐにでも病院に連れて行きたいのだが。
「いえ……事情ってほどでも無いんですが……」
言いにくそうに唇を噛む彼女。
私は別に理由を言ってくれても言ってくれなくても構わない。他人に干渉する趣味は無い。
「話したく無ければ結構ですよ。……何か話して楽になることがあるなら聞きますが」
私がそう言うと彼女は驚いた顔をした。
「しっかりしてらっしゃるんですね」
「はい?」
「あ、いえ。……じゃあ、聞いてもらっても良いですか?」
「はい」
熱のせいもあるのか、彼女はゆっくりと話し出した。
「お恥ずかしい話ですが、父親が脳梗塞で倒れまして。父は会社を経営してるのですが、丁度このタイミングで色々傾いて……」
さらっと“会社を経営”と言われて勿論驚いたが、彼女は気にした様子も無く続けるから私も黙っておく。

