「あっ、優子! 探してたんだけど~。あれ? この鞄誰の?」
こんなアウェー全開な空気の中でも全く気にした様子も無く私に話し掛けてくるのは、塾も同じ所に行っている美穂だ。ほら、前に兄を紹介しろと話し掛けてきた彼女だ。
それに美穂は1組だ。クラスも違うのに、メンタルが強すぎる。
「夏川の。で、何?」
「夏川……? あんたあいつと繋がりあったっけ?」
「今日出来た」
「ふーん……? あ、そうそう。英語の課題教えてもらおうと思って」
目の前で手を合わせる美穂。
そう言えばそんなのあったな。
「ごめん、今日は無理。他の人に頼んで」
「えー、優子が良い~。分かりやすいんだもん~」
「……じゃ明日の朝は?」
「えー、私朝弱いんだけど……」
「じゃ無理」
「あー、分かった分かった! 明日の朝ね! 頑張るから!」
出ていこうとする私の背中を美穂は慌てて追い掛けてくる。
「ん。じゃね」
「うん! バイバーイ」
可愛い顔で手を振る美穂。
顔は割と悪くないし、良い性格をしているのに彼氏ができないのはきっと私と仲が良いと思われているからだ。
美穂と別れて、私は急いで階段を下りてさっきの倉庫の裏に行くと、そこに夏川の姿は無かった。
「夏川……?」

