翌朝はコーヒーの匂いと物音で目が覚めた。
目を開けるとユウは隣でコーヒーを片手に朝刊を読んでいた。
「あ、起こした? ごめん」
私が目を覚ましたことに気付きユウが声を掛ける。
「ううん」
私は寝ぼけた頭のまま、ベッドに向かう壁に掛けられた例の絵を見つめる。
本当に綺麗……。
夜と朝とでは同じ絵のはずなのに違う色を見せる。
「気に入った? その絵」
私がそれを見ていることに気付きユウは言う。
「……うん。これ、ずっと見てられる」
「だろ? 業界ではさ、こんな才能が埋もれちゃってんの。もったいないよな」
「えっ、この絵もしかしてユウが買ったの?」
「そー」
ユウはまた一口コーヒーを飲む。
「安く似顔絵書いて飯食ってる奴の絵柄に惹かれて、アトリエ連れてってもらったらこれに一目惚れ」
そんなことあるんだ。
私の日常とはかけ離れたエピソードに羨ましさすら感じる。
「いいなあ、こんな絵描けるなんて。私だったら絶対売らないで自分で飾るよ」
「どこが好き?」
何気ない口調の中に私の鑑賞力を測る意図が含まれているように感じたのは気のせいだろうか。
ま、そんなことは気にせず思ったままを言う。
「そこ――銀河の周り、光が描かれてないでしょ? 本当は銀河系の外にも星はあるのに」
「うん」
ユウは静かに相槌を打つ。
「でもそれがないから、なんだろう、ボトルシップみたいなミニチュアさを感じるの」
「へえー」
ユウはそこで眉を上げて意外そうに声をあげる。

