「おい、返事来たか?」



目の前で知らない少年が俺のスマホを使ってレイに連絡をしているようだ。

俺はと言えば目隠しをされて手は後ろで何かにくくりつけられている。


三時間程前、昼休みに外に出ていた所を12、3人の不良少年に囲まれた。



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「おい、ちょっと面貸せよ」


「……何?」



何だ? 随分と治安の悪い奴等だな。
所謂不良やヤンキーと言われる奴等とは何度かつるんだことはあるけど、どれも見ない顔だ。


――! もしかしてこいつらレイが言ってた……!


そう思って身構えた瞬間。



――バチッ!!



大きな音と強烈な痛みが俺を襲い、俺は膝から崩れ落ちた。それと同時に後ろから襲ってきた奴の腕に支えられる形になる。



「っ……! ……」



体が――動かない。いや、動けない。

記憶のどこかにあった感覚に、言葉を飲んだ。もう随分長いこと忘れていた感覚だ。



「ちょっと大人しくしててくれる? こっちも無駄なことしたくないからさ」



目の前のそいつは俺の背後に居た男からスタンガンを受け取って俺の鎖骨辺りに当てる。

そしてまた別の男が俺を抱き上げ、目隠しをされたままどこかに運ばれた。


しかしまあ子供の頃習った護身術がこんなに使い物にならなくなるとは。しかもよりによってこんな不良達に捕まるなんて――。


半ば引きずられるように連れられた先は、埃の臭いがする所だ。目隠しのせいで何も分からないが、建物の中のようだった。



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