一瞬京一の瞳が揺れたような気がした。

しかし次の瞬間にはまた強い光が戻る。



「だったら何なんだよ」


「お前なあ……!」


「そんなにあいつと仲が良いなら、お前が適任なんじゃねえの? もう俺に話し掛けんなよ」



そう言って京一はユウの腕をどけ、立ち去ろうとする。



「待てって!」



ユウは京一の腕を乱暴に掴んだ。反動で振り向いた京一はあからさまに苛つきを顔に出す。



「ってえな……! 何だよっ!」


「……」



ユウはまた一段と目付きを鋭くして京一を睨んだ。



「……なあ、高田達弘って知ってるか?」


「何……?」


「知ってるんだな」


「……」


「そいつがまたレイを狙ってる。俺だけじゃきっと無理だ。だから……」


「……」



また沈黙が流れた。

だがすぐに京一によって遮られる。



「……知らねえな」



そしてユウの前から日の当たる場所へ、歩いて行ってしまう。



「なあ!」


「あ?」



振り返ることも、足を止めることも無く京一は聞き返した。



「あと一つだけ。……あの日――葬式の日の夜、レイは『自分のせいだ』って言ってたんだけど、何か知らねえか?」



そよ風が気付かぬ内に止むように、スッと京一は足を止めた。



「……」



そしてまた何も言わないまま、気付かぬ内によそ風が吹き始めるように歩き出す。

もう京一を引き留める術を無くしたユウは一人柱にもたれる。


「クソッ……」という彼の呟きが風に消されていった。