「何? 言ってみな?」



ユウはエスパーか何かなの? 人の心が読めちゃう訳?



「ううん。良いの」



ユウだって暇じゃ無いんだし。隣に居て、なんて都合の良い我が儘だ。



「……」



ユウは、言葉を飲み込んで、また間を置いてから「そっか」と言った。



「うん。あ、冷めちゃう! いただきます!」


「召し上がれ」



そう言いながら、彼も同じメニューに手をつける。



「んー! 美味しい!」


「ん! 俺天才だな」


「うわ。自画自賛かよ」


「ははっ、事実なんだから仕方ねえだろ?」


「あはは、まあね」



私は、普段料理なんて全くしない筈なのに、やはり器用に何でもこなす彼が作ってくれたスクランブルエッグを口に運んだ。





◇◇◇





「ねえ、今日も泊まっても良い……?」



食事を終えて二人並んでソファーに座りながら、隣でノートパソコンをいじる彼に小さく聞いた。



「ん? 良いって言っただろ?」


「ん……ありが、と……」



寝不足と食後の眠気と彼の体温によって、私はいつの間にかウトウトと船を漕いでしまう。



「レイ? 眠いの?」


「ん……」


「ふふっ。ほら、こっち」



どこか遠くでユウの声が聞こえて体が倒されるような気がした。首の裏に硬い太ももを感じたのを最後に、私の記憶は途切れた。