それからどれくらい経っただろう。数時間経ったようにも感じるし、数十分しか経っていないようにも感じる。
「……レイ!」
ユウの声が背中に届いた。
振り向くと息を切らしたユウが歩いてきていた。
「……ほんとに来てくれたんだ」
「当たり前だろ。レイが我が儘言うなんて滅多に無いんだから」
「……」
ユウは静かに私の隣に腰掛ける。
「泣いてんのかと思ったぜ」
彼はそう言いながら私の肩に腕を回して抱き寄せた。
もう涙の跡も乾いていた、のに。
「泣いてなんか無い」
「……この天の邪鬼が」
彼は私の顔を見ず、前を向いたままそう言った。
私はそんな彼の優しさに甘えて、声を押し殺して涙を溢した。
それは、母親の死への涙なのか……それとも…………それとも偶然重なった、京一への…………。いや、もしくはその両方か。
だってあれから昨日見た京一の顔が頭から離れないんだ。
ねえ……私から離れていかないでよ。私は、ずっとずっとあんただけを頼りに生きてきたんだよ。
あんたが居なくなったら、私は――私はこれからあの冷たい家で、本当に独りに……。
「独りに……しないで……」
思わず気持ちが口から零れると、ユウは笑って私の頭を撫でる。
「うん、独りにしないよ。……大丈夫、大丈夫だから……」
彼の優しい声を聞きながら、静かに涙を流していた――。

